ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N’ Roses)が2025年12月にリリースした最新シングルのひとつ「Atlas」。この曲はもともと、アルバム『Chinese Democracy』時代に構想されたもので、当時の曲名は「Atlas Shrugged」。初期ヴァージョンでは、クイーン(Queen)のブライアン・メイ(Brian May)がゲストギターで参加していました。リワークした際、スラッシュ(Slash)はブライアンのギターを参考にしたのしょうか? 米Ultimate Classic Rockの新しいインタビューの中で、語っています。
2011年のUncut誌のインタビューの中でブライアンが語ったところによると、彼をレコーディングに招いたのはプロデューサーのロイ・トーマス・ベイカー(Roy Thomas Baker)だったという。
「当時、彼(ロイ)は彼らのプロデュースをいくつか手がけていて、方向性を模索する手助けとして僕に声をかけようという話になったんだよ。彼に会うために現地へ飛んでいって、アルバムのほぼ全曲を聴かせてもらった。僕たちは長い夜をかけて、話し合い、考え、どんな方向性があり得るのかを一緒に探っていったんだ」
ブライアンは複数の楽曲で演奏しましたが、彼の演奏は最終的にアルバム『Chinese Democracy』には収録されませんでした。
「Atlas Shrugged」をリワークした「Atlas」ではスラッシュがギターを担当していますが、スラッシュはこの楽曲の長い誕生過程にブライアンが関わっていたことを初めて知ったと語っています。
「(その曲にブライアンが参加していたなんて)今日までまったく知らなかったよ。もし知っていたら、もし事前にそれを聴いていたら、ブライアンのプレイに応えるような演奏をしたいと思っていたかもしれない。今こうして知ったので、ブライアンが何を弾いていたのか聴いてみるのも面白そうだね」
2人は、ブライアンのソロ・バンドがガンズ・アンド・ローゼズの『Use Your Illusion』ツアーのいくつかの公演でオープニングアクトを務めた際に、良い時間を一緒に過ごす機会がありました。さらにその時期に、ブライアンが米TV番組に出演した際には、スラッシュもセッションに参加しており、その後も2人の親交が続いているという。
「ブライアンは、俺にとって史上最高のギタリストの一人であるだけじゃなく、お気に入りの作曲家の一人でもある。あえて“作曲家”と言っているのは、クイーンの楽曲があまりにも壮大だからさ。クイーンは、あらゆる意味で俺たちのお気に入りのバンドの一つだった。だからブライアンと一緒に仕事ができたのは光栄だったよ。昔からずっとね。これまでにも何度も一緒にやってきたんだ」
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ガンズ・アンド・ローゼズ(以下GN’R)は昨年12月、「ナッシン」と「アトラス」という2曲のシングルをリリースしました。このうちの「アトラス」が、バンドのメンバーたちがヒーローと崇める人物のひとりと実は深い関わりを持っていたことは、あまり知られていない事実かもしれません。
どちらのシングル曲も元々はGN’Rの2008年のアルバム『チャイニーズ・デモクラシー』のために行われていた長期にわたるセッションの産物でした。その制作にかけられた長い歳月の間に、数え切れないほど多くのミュージシャンやプロデューサーたちがスタジオに出入りし、最終的な完成形に辿り着くまでに、その仕事の成果は何度となくフィルターにかけられ、取捨選択が行なわれたのです。
クイーンのブライアン・メイも数曲でプレイしており、そのうちの1曲がこのほどリリースされた「アトラス」の初期ヴァージョンで、当時は「Atlas Shrugged」という仮タイトルがつけられていました。2011年の英『Uncut』誌のインタヴューで、彼はこのセッション参加の経緯を、長年クイーンを手掛けていたプロデューサー、ロイ・トーマス・ベイカーからの声掛けがきっかけだったと語っています。
メイはこう振り返ります。「(彼が)当時、彼らのためにプロダクション作業に関わっていたんだけど、その作業の中で僕に連絡を取って、作品の方向性を決める手助けをしてもらえないかってアイディアが出たらしくてね。僕は飛行機で彼らの元に飛んで、スタジオでバンドと顔を合わせて、彼(ベイカー)からアルバムのほぼ全曲を聴かせてもらった。彼とは一晩延々と話をして、考えて、可能性のある方向性を一緒に模索したんだ」
メイはそれから数日間「ひたすら色んなことを試し続けた」と言い、幾つかの曲で実際にプレイしました。その中には「Catcher in the Rye」も含まれていましたが、最終的に『チャイニーズ~』の完成版に収められたのは彼の演奏抜きのヴァージョンでした。
先頃リリースされた「アトラス」のヴァージョンでは、スラッシュが全てのギター・ワークを担当しており、この曲の長い創造の歴史に、かのギター・レジェンドが関わっていたことを知って、彼自身も驚いている様子でした。
スラッシュは先頃行なわれた『Ultimate Classic Rock』のポッドキャストにおけるインタヴューでこう語りました。「ブライアンがあの曲でプレイしてたなんて、俺は(今日まで)全然知らなかったよ。もしそれを知ってたら、って言うか彼のプレイを聴いてたら、きっと俺はブライアンのラインを踏襲したプレイをしたいと思ったんじゃないかな。今日こうやって教えてもらったから、家に帰ったら当時の音源浚って、ブライアンがどんなプレイをしてたのか聴いてみたいね」
メイはソロ・アルバム『Back to the Light』のツアーを行なっていた時期、GN’Rの『ユーズ・ユア・イリュージョン』ツアーで前座を務めたことがあり、その最中にはスラッシュとたいそう楽しい時間を過ごす機会があったそうです。またスラッシュはその時期にブライアンが『Tonight Show』に出演した際にも飛び入りで一緒にジャムり、以来ずっと親しい関係を続けていると言います。
「ブライアンは俺のオールタイム・フェイヴァリット・ギタリストのひとりであると同時に、大好きなコンポーザーのひとりなんだ。俺がわざわざコンポーザー(作曲家)って言い方をするのは、何しろクイーンの曲ってのはとにかく壮大だからでね。クイーンは俺たち全員にとっても5本の指に入るくらい大好きなバンドで、だからブライアンと一緒に仕事ができるってのは凄く光栄なことだよ。昔からずっとそう思ってる。俺はこれまでに何度となく彼と一緒に仕事をする機会に恵まれてるんだ」
メイの方もGN’Rに対して好意的な感情を抱いていることは、過去のインタヴューでも度々発言している通りです。クイーンはフレディ・マーキュリーの追悼コンサートにも彼らを演者として招き、またGN’R側から、マーキュリー・フェニックス基金に莫大な寄付が行なわれたことも、後日メイ自身が報告していました。
2021年の『UCR』のインタヴューでも、彼は『ユーズ・ユア・イリュージョン』ツアー当時にGN’Rとオン・ザ・ロードで過ごした楽しい時間の思い出を振り返っていました。「あれはとても楽しかったよ、何しろ僕は自分の敬愛する人々と一緒にプレイすることができたし、彼らも僕に対してリスペクトを持って接してくれていたからね。アクセル(・ローズ)は気難しいとか色々言われてたけどね、僕に対してはいつだって機嫌よく接してくれていたよ。いつも時間を取って僕と話をしてくれてた」
「スラッシュはいつだって凄くリラックスしていて、とてもクールなんだ。僕の目には彼はいつもそんな風に映っていたよ。彼は本物のジェントルマンで、素晴らしいミュージシャンなんだ、言うまでもないことだけどね……彼のプレイは彼自身の魂(ソウル)の発露であり、彼の指には強さと魔法が宿っているんだ」