SLASH × 平子理沙

GLAMOROUS 2010年7月号 2010.06 Text by Takahisa Matsunaga.

平子理沙。彼女が憧れるロックスターの一人である元ガンズ・アンド・ローゼズ(以降ガンズ)のギタリスト、スラッシュとのスペシャル対談が、本誌7月号で実現。その対談の全貌をここに完全収録。

── 平子さんがスラッシュのことを知ったきっかけは?

理沙: L.A.で暮らしていた1989年にザ・ローリング・ストーンズのライヴで、ガンズのオープニング・アクトを観たのがきっかけ。とっても衝撃的で、カッコ良く、実はストーンズよりも釘付けになりました(笑)。以降、(ガンズ脱退以降に結成したバンド)ヴェルベット・リボルヴァーの楽曲や今回のソロアルバムも含め、すべてが好きです!

スラッシュ: ありがとう!ちなみに理沙はL.A.にはどれくらい暮らしていたの?

理沙: 5年くらい。ちょうど高校生くらいの頃ですかね。

スラッシュ: オレもL.A.の高校に通っていたんだよ。ビバリーヒルズにある学校でね、レニー・クラヴィッツなんかも同じところに通っていたよ。でもオレは勉強するのが大嫌いだったから、2年生の時に退学しちゃったんだよ。もうすでにその頃にはギタリストとして活動していたし、勉強をするよりは自分のやりたいことに集中したほうが、充実した人生を過ごせると思ったんだ。

理沙: そうなんですか。

── 平子さんは、高校生の頃からスラッシュの音楽を追いかけ続けているわけですけど、彼の魅力は?

理沙: 音楽はもちろんだけど、ルックスもとってもクールで独創的なところがあって、大好きです。

── 特に好きな曲は、ありますか?

理沙: どれも素晴らしい楽曲ばかりで、ひとつを選ぶなんてできない! 今回のソロアルバムも最高だったし。でも今回なぜソロ作を作ろうと?

スラッシュ: 最初はソロ名義のアルバムを作るつもりはなかった。バンドで曲を発表したいと思っていたよ。でも、曲を作っていくうちに、これはあのアーティストに歌ってもらいたいというイメージがどんどん膨らんでいってね。だったら、ソロでアルバムを出そうと思ったんだ。

理沙: とってもバラエティに富んだ素敵なアルバムに仕上がっていますよね。ゲストには、オジー・オズボーン、イギー・ポップといったロック・レジェンドから、ファーギー、マルーン5のアダム・レヴィーンといったポップ系のアーティストまで、個性豊かなアーティストたちが参加していますが、彼らをセレクトした基準みたいなものはあったのでしょうか?

スラッシュ: 今回参加してくれたアーティストはみんな、揺るぎない個性を持った人ばかりなんだ。きっと、それら個性と自分のサウンドがタッグを組んだら、これまでにないエキサイティングなものが表現できるんじゃないかって思ったんだよ。

理沙: 実際、どれも最高にカッコいい曲ですしね。個人的には、フー・ファイターズのフロントマンであるデイヴ・グロールが参加したインスト曲が印象的でした。なぜインストに?

スラッシュ: 実はデイヴには最初は歌をうたってもらいたかったんだけど、彼はシャイというか、自分のバンド以外ではヴォーカルをやらないという徹底したポリシーを持っている人間なんだ。だったら、彼は(ニルヴァーナで)ドラマーとしても活躍していたのだからインスト曲で共演しようって話になったのさ。


── 実は平子さんも、音楽活動をされていて、このたび新作をリリースしたんですよ。

スラッシュ: そうなんだ。ぜひ音を聴かせてほしいな。お話する感じだと、とっても芯があってセクシーな女性だと思ったから、きっとサウンドもそういうキャラクターが反映された仕上がりになっているんだろうね。ちなみにどんな音なの? ポップな感じ?

理沙: そんなタイプが多いかもですね。

── でも、収録曲のなかにはスラッシュ・サウンドに通じる、ハードでホットなロック・チューンもありますよね。

理沙: 私なりのロックな部分も表現してみました。私はロックやポップスを聴くのが大好きなんです。

── スラッシュがもし、平子さんに曲をプレゼントするとしたら、どんなタイプのものを提供してくれますか?

スラッシュ: きちんと彼女の声を聴いてみないと判断はできないけど、パッと見た感じアップテンポのスピード感のあるロックが似合うのかな? もしくは、とびっきり美しいバラードだね。

── 平子さんはスラッシュの音に歌詞をつけてみるのはどうですか?

理沙: とんでもない!(笑)

── ではお二人は、音楽を表現するにあたってこだわっていることは?

スラッシュ: 常に、自分が作りたいと思った音を作るだけ。まわりにとやかく言われようが、自分を信じてやりたい音を追求する。それだけさ。

理沙: 私も同感です。

── またスラッシュといえば、その巧みで情熱的なギター・プレイが印象的ですが。

理沙: 私はギターのことはよくわからないんですけど、覚えているのが’95年のMTVビデオ・ミュージック・アウォードでのマイケル・ジャクソンのパフォーマンス。周りのスタッフの制止を振り切ってまでも、一心不乱にギターを弾き続けていたスラッシュの姿が、今も目に焼き付いています。

スラッシュ: ありがとう!あれは、パフォーマンス前にほとんど打ち合わせができなくて、本番直前にマイケルが耳元で「とにかく演奏し続けてくれ。」と言ったので、スタッフの制止を振り切ってプレイし続けたんだ。

理沙: とってもクールなパフォーマンスだったと思います。クールと言えば、そのファッションも魅力的ですよね。

スラッシュ: オレは別にファッションとかあんまり気にしてないタイプなんだ。そこらへんにあるTシャツやジーンズをラフに着こなすのが大好き。ずっとそのスタイルを続けていたら、時代が一回りしちゃったのかな?最近ファッションの質問をされることがあるんだけど、別に何も気にしちゃいないんだよ。

理沙: 私も基本的にTシャツとかラフなスタイルが大好き。特に、初期のガンズ・アンド・ローゼズのTシャツは、カッコよくて今でも愛着してます。またスラッシュ・スタイルのトレードマークといえば、そのシルクハット。どういうきっかけで被るようになったのでしょう?

スラッシュ: これは’90年代にLAのメルローズを散歩していた時に、偶然通った店で出会い、一目ボレして購入したものなんだ。それ以来、ずっと被り続けている、とても愛着のあるものなんだよ。実は以前、このハットを盗まれてしまい、犯人にお金を要求されたことがあるんだ。その時は、警察がすぐに犯人を逮捕してくれたからよかったけど、大金を払ってもいいほど大切なもの。このハットのおかげで、自分の音楽スタイルが確立されたような気がするしね。


── 女性のファッションで、好きなスタイルとかはありますか?

スラッシュ: ブランドものをジャラジャラと身にまとっている人よりは、Tシャツにジーンズ、もしくはワンピースをさらっと着こなしているようなタイプが好き。でも基本的にその人にあう格好をしているならば、みんな魅力的だよ。

理沙: スラッシュの思う、グラマラスな女性って?

スラッシュ: 難しい質問だね……。でも、グラマラスって決して外見を磨くことだけで表現できないと思うんだ。内からわきでるオーラが輝いて見える女性がグラマラスって感じかな。

理沙: またミュージシャンとして、私に何かアドバイスをもらえますか?

スラッシュ: とにかく、自分を信じて好きなことをやる事だと思うよ。気に入らないことや、納得のいかないことなんて無視しちゃっていいんじゃないかな。だから、それをきちんと理解してくれるよいスタッフを周りに集めるべきだと思うね。

── またグラマラス読者へもメッセージをお願いします。

スラッシュ: 雑誌に目を通した感じ、みなさん美しくかつ主張をしっかり持った女性ばかりのように思った。それって、とっても大切で素晴らしいことだと思うんだ。これからもそのスタイルを追求してほしいね。

理沙: 本日はありがとうございました! 8月のサマーソニックも楽しみにしています!!

スラッシュ: ぜひ遊びに来てよ! サマソニは、新しいバンドメンバーで登場するから、これまでにはないグルーヴを感じてもらえると思う。今回のアルバムの曲からガンズ時代の楽曲まで、がっつり演奏するつもりだから楽しんでもらえるんじゃないかな。理沙も遊びに来てよ!

── ひょっとしたら、ステージで共演なんてことも!?

理沙: それは絶対にあり得ないから!(笑)