BreakdownなぜGN'Rはバラバラになってしまったのか

Would you give it to me
If I fit your needs
Like when we both knew we had it
But now the damage's done
And we're back out on the run
Funny how everything was Roses
When we held on to the Guns
Just because your winnin'
Don't mean your the lucky ones

昔、お互いがお互いを必要としていたように
オレがおまえの希望に沿えたなら
オレに愛をくれるかい?
だけどもう手遅れさ
オレ達、また逆戻りして逃げ回るのさ
おかしいよね、銃の様な強い信念を抱いていた頃は
全てが薔薇色だった
今、望み通りだからといって
幸運だと思うのは気が早いぜ

(Breakdown : Written by Axl Rose - Use Your Illusion Ⅱ)

ダフ・マッケイガン
アラン・ニーヴン(元GN'Rマネージャー)を引きずり込んだんだ。あいつはオレ達と似ていた。オレ達の口癖じゃないが、「世の中なんか知ったこっちゃない」ってノリだったからな。アランが去ると、ありとあらゆる中間搾取者が顔を突っ込んでくるようになる。かくしてあの、自分たち以外は総スカンという仕組みはご破算となったわけだ。アランがいなくなって、状況は変わったのさ。
(略) それなんだよ、オレ達5人がバラバラになっていった経緯は。それぞれが突如としてそれぞれの取り巻きに囲まれるようになり、取り巻きの連中もまた各々の目論見を持っている。つまり、こっちが相手にしなきゃならないのはアクセルだけじゃなくて、あいつのケツから突き出している1ダース分くらいの他人の脚でもあったわけだ。オレも人のこと言えなかったけどさ。

音楽的にはアクセルの連れて来た友達に良かれという方向に向かいつつあった。あと、これも要因の一つなんだが、そのアクセルが連れてきた男(ポール・トバイアス)を「これがうちの新しいギタリストだ」とのたまったんだ。 何だって! 「いや、それは違うだろう」とオレは言ったよ。だって、それじゃオレが仲間を連れてきて新しいメンバーだと言うのと同じじゃないか。民主制も何もあったもんじゃない。あれでスラッシュも本格的に「どうにでもなれってんだ。何だよ、あいつのバンドになっちまったってことか?」って感じになっていった。

(GN'Rの一番の強みは) 多分、あのユニットの絆だろうな。


ギルビー・クラーク
アクセルは新しい音楽のヴィジョンを持っていたんだ。GN'Rをその方向に導こうとしていた。そして彼の目には…これはオレの意見であって、彼の代わりに答えているわけじゃないけれど、彼は、オレ達とは快適にはやれないと思ったんじゃないのかな。彼らが昔の曲をプレイしても、とても良いはずだよ。アクセルが歌っているんだし、みんな上手いミュージシャンなんだから、当然だろうね。きっと素晴らしいと思う。ただ、残念だと思うのは、オリジナルのGN'Rは特別なバンドだったと思うからだよ。マットとオレが入った時も、その特別な部分を維持する手伝いをしていた。それが失われ始めて、ちょっとドタバタした感じになっていったんだという気がする。

ツアーが終わった時が、総ての終わり、という感じだったな。ツアーが終わった時にバンドも終わったとわかったんだ。ツアーの後も、スラッシュとは少し付き合いがあったけれど…。オレはスラッシュのことを友達だと思っていたけれど、彼はただ、ギタリスト仲間が欲しかっただけかもしれない。バンド内の関係は、友情というよりは、ビジネス上の付き合いの方が多いということがオレにもわかっていたよ。残念だけれどね。


イジー・ストラドリン
嫌気がさしてたんだよ。とにかく完全にウンザリだった。前みたいな感じじゃなかったし、昔あった何かがもうダメになってしまっていたんだ、オレにとってはね。

実はスティーヴ(スティーヴン・アドラー)と話したんだよ、法律制度だの弁護士だの、そんなしょうもない連中のアドバイスに反してね。この業界のそういうところ、それにあのバンドのそういうところは、まったくクソったれの連続で、そのせいでいい所が随分ダメにされてる気がする。
ちょっと助けてやりたいと思ってさ、な? それでほんの少しだけ話をしたんだ。あいつはいいドラマーだった。名人とはいえなかったよ。だけどホントにいいロック・ドラマーなんだ。

アラン・ニーヴンをクビにしたのはアクセルで、オレはそれについて口出しできなかった。今でもアクセルはアランに対して良い感情を持っていないはずさ。つまりそれは、バンドがものすごく大きくなった時に起こる出来事のひとつだったのさ。オレにはアクセルのものの見方もわかるし、彼の性格からすれば、総てを思うようにコントロールしたがるのもわかる。それで彼とアランが衝突してしまったんだ。アランもしっかりと物事をコントロールしようとする人間だからね。


Oh I tried to see it your way
I tried to see it your way

ああ、オマエのやり方を理解しようと…
オマエのことをわかろうと努めてきたのに

(14 Years : Written by Izzy Stradlin - Use Your Illusion Ⅱ)

マット・ソーラム
あいつ(アクセル)はただ、自分なりにヴィジョンを持ってやっている男でしかなくて、オレ達はただ、そろってそれに賛同できなかったという、それだけのことだ。

(バンドの状況が劇的に変化してしまった原因は)ツアーだね。あれでオレ達は随分消耗してしまった。「Use Your Illusion」の2年半に及ぶツアーでこなしたショウの数ときたら、そりゃ凄かった。バンドはあまりにもビッグになり、アクセルはそれをコントロールしようと躍起になり…。

その頃に流行っていた音楽がアクセルにかなり影響を与えるようになっていたのに対して、オレ達は、次もまたロックン・ロールのアルバムを作るものと思っていた。ギルビーを含めてオレ達は、いくつも曲を書いてアクセルに提出したが、あいつは気に入らなくて、それが高じてギルビーの解雇ということになっていく。素材が良くないのはギルビーのせいだ、とでもいうようにね。

けど、最初の2作の素晴らしいアルバム(アペタイト、ユーズ I&II)において、主要なソングライターだったのはイジー・ストラドリンなんだぜ。イジーというリンクを失ったオレ達は、曲作りのコツみたいなものを失ってしまったんだよ。


スラッシュ
GN'Rに関して、オレが脱退するに至った理由は一つしかない。それは、内輪のケミストリーの崩壊だ。GN'Rを、少なくともオレが考えるGN'Rたらしめていたものは、同じ目標に向かって共に闘う姿勢だった。

パーツの合計が各人よりも遥かに強力だったんだから、あとはどうでもよかった。ひとつひとつのパーツが集まって出来るものが、各人を遥かに凌ぐほど強力だっただけに、メンバーが抜けるようになると特に脆かったのかもしれない。あのヴァイヴが無いのに上手くやれるはずがない。それが総ての基盤だったんだから。

アクセルはイジーと、イジーはダフと、ダフはオレと、イジーはオレと、みんなガッチリ結びついていた。あのドラムがあったからさ。スティーヴンはフリー・エージェントだったからな(笑)。実に複雑なケミストリーだ。5人集めるとなると、例えばあの当時、LAでGN'Rを組めたのはオレ達5人だけで、他にはいなかった。

バンド自体が何らかの理由から100%まとまっていない状態だったとしても、ステージに上がるとファンからのリアクションを受けてバンドは一つになることが出来た。たとえショウの前には…あるいは終わった後も、オレとアクセルが口を利いていなかったとしても、ステージに上がってしまえば、そこには必ず独特のケミストリーが働いた。それを可能にしてくれていたのが、オーディエンスだったんだ。

出来ることをやればいいってのがオレの考え方なんだが、アクセルは「いや、違う。オレ達はお前らには思いもよらないくらいビッグで、とてつもなく冒険的なんだぞ」とか言いやがって…。アクセルとオレは、自分達がどういうバンドであるかという点で結局理解し合えなかった。

オレ、一度あいつ(アクセル)になぜソロアルバムを作らないんだって聞いたことがあるんだよ。それで心の重荷を降ろしてスッキリすればいいのにって。で、まぁ、あいつはなぜそうすべきなのか、さっぱり理由が分からなかったんだよな。だってアクセルの頭の中じゃ、GN'Rこそが彼のソロ・プロジェクトなんだから。


トム・ズータウ

アクセルはガンズ・アンド・ローゼズが変わらなければならないって考えていて、スラッシュの態度っていうのは、ガンズ・アンド・ローゼズというのは、あくまでもガンズ・アンド・ファッキン・ローゼズなんだというもので、それがバンドの素性なんだというものだったんだ。二人の間にできてしまった深い溝を埋め合わせることはもうできないんじゃないかと思うよ。結局、これが一般に公表されなかったのは、バンドが実は解散してしまったということを誰も言い出したくは無かったからなんだ。

(2016年 BBC 4で放送されたでは「The Most Dangerous Band In The World: The Story Of Guns N' Roses」のなかで)
アクセル・ローズとスラッシュの仲違いは、スラッシュがヘロインを摂取し過ぎて8分間「死んだ」ときから始まったという。
「アクセルはスラッシュがドラッグを過剰摂取した時、純粋にソール・ハドソン(スラッシュの本名)の魂がスラッシュの体から抜けてしまったと信じたんだ。それがバンドの再結成への一番の障害だったんだよ」


アクセル・ローズ
彼らは、オレがレコードを作る方法を理解しようとしているなんて思ってもいなかったし、レコードを作る手伝いもしたがらなかった。皆がそれぞれに自分のやりたいことをやりたがっていたわけだ……全員にとって一番ためになることよりも。

奴らは、GN'Rにとって正しいレコードを見極めようとするよりも、違うことをやりたかった、ということじゃないかな。でも同時にGN'Rはビッグだった。そこからどうやって逃れようっていうんだい? それは非常に厄介なことだとオレは思うよ、関わった誰にとってもね。

あのレコード(Live ERA `87-`93)に入っている『USE~』ツアーの音源の中には…オレは内部にいるから、バンドが死につつあるのが聴いていて判るものがあるよ。いつイジーが無意識のうちにそれを越えていったかも、聴けばわかる。オレには聞こえるんだ、このバンドがどこで、GN'Rの元々目指していたものから逸れていったかが…。

人々には、それぞれ好きな曲があり、それは「USE~」に入っている曲かもしれないが、多くの人は「APPETITE~」を好む。あれこそがGN'Rの何たるかを示すレコードだからさ。そしてオレには、どうやってそこから遠く離れていったかが、音の中に聴き取れる。


Yesterday there was so many things I was never shown

Suddenly this time I found
 I'm on the streets and I'm all alone

きのう、これまで見たこともなかったことが沢山あった

で、突然わかったのさ
 俺は今ストリートにいて、ひとりぼっちなんだって

(Yesterdays : Written by Axl Rose - Use Your Illusion Ⅱ)