ガンズ・アンド・ローゼズの激レア・ベスト・ソング10選

10 Insanely Great Guns N' Roses Songs Only Hardcore Fans Know
RollingStone 2016.04 By Andy Greene, Kory Grow, Joseph Hudak, Brittany Spanos. Translation by Naoko Nozawa

必聴! 復活したハードロックの神の作りしB面曲、別バージョン、超レア曲!
ガンズ・アンド・ローゼズのオリジナル・メンバーである、アクセル・ローズ、スラッシュ、ダフ・マッケイガン。2016年4月1日、実に23年ぶりの共演となったロサンゼルスのライヴで、ハードロック屈指の(そして最も危険な)ヒットメーカーが再結成した。このステージを皮切りに、バンドは一大スタジアム・ツアーをスタートした。1985年、バンドの創成期において、彼らはすでにロック・アンセム(『ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル』)、心にしみるバラード(『ドント・クライ』)、転調が秀逸な名曲(『ロケット・クイーン』)を書いている。1987年、悪名高き『アペタイト・フォー・ディストラクション』のヒットでロック・ラジオ局とMTVを戦慄させて以来、彼らは5枚のアルバムと1枚のミニ・アルバムをリリースした。しかし、その過程で、いくつかの名曲予備軍が途中で脱落し、デモテープに放置されたり、ライヴのブートレグで出回ったり、あるいはB面に収録されたまま忘れ去られたりしている。残念ながらアルバムに収録された『ワン・イン・ア・ミリオン』『ドント・ダム・ミー』『マイ・ワールド』のような曲の影には、疾走感あふれる『グッドナイト・トゥナイト』、ポップな『ジャスト・アナザー・サンデー』、名曲『シャドウ・オブ・ユア・ラヴ』のような、大ヒットしていたかもしれない曲が存在する。それでは、ローリングストーン誌がセレクトした、ベスト・オブ・レスト(選外傑作選)をご覧いただこう。

『グッドナイト・トゥナイト( Goodnight Tonight)』

『アペタイト・フォー・ディストラクション』の燃えるような激情とは一線を画す、楽しくてノリノリな盛り上がり曲『グッドナイト・トゥナイト』は、1986年に遡って、最高に幸せな時期のアクセルと仲間たちを垣間見せてくれる。スピーディーでハチャメチャなこの曲は、遊び心にあふれ、キャッチーで、ヘビーで、ガンズ・アンド・ローゼズが得意とするところのレア・コンボだ。この曲のライヴ・バージョンは本当にレアで、1度しか演奏されたことがなく、デモもオフィシャルな録音もいまだかつて出回ったことがない。しかし、イジー・ストラドリンは、バンド脱退後、ジュ・ジュ・ハウンズとのライヴでこのミステリアスな曲を演奏し続けている。

『ユー・アー・クレイジー(You’re Crazy )』(オルタネイト・アコースティック・バージョン)

『アペタイト・フォー・ディストラクション』に収録されている、貨物列車が突進するようにパワフルな『ユー・アー・クレイジー』は、バンドがもともと思い描いていたバージョンではなかった。この曲は、アパートの一室で、ファンキーなアコースティック・ナンバーとして生まれた。このバージョンは、ミニ・アルバム『GN’Rライズ』の7曲目に収録されたが、バンドがこのスタイルでレコーディングしたのはそれきりではない。少しペースが速い、明るめのサウンドのアコースティック・テイクが、『GN’Rライズ』と同じ1998年にリリースされた、イギリス版シングル『ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル』のB面に収録されている。特筆すべきは、パーカッションがフィーチャーされている点、アクセル・ローズががなり立てる奇妙なソロ、よりブルージーなギター・ソロ、そして、前述のふたつのバージョンに共通して全編で用いられている、あの「ファッキン」という言葉が一切出てこないことだ。「俺は、こっちのスローな方の(アコースティック)バージョンが好きだね」と、かつてスラッシュは語っている。「この曲のスローなバージョンをプレイするたびに、不思議なことっていうか、マジックが起きるんだ。同じことは二度と起きない」

『トゥー・マッチ・トゥー・スーン(Too Much Too Soon)』

90年代初期のある時期、アルバム『ユーズ・ユア・イリュージョン』IとIIのレコーディングの準備中だったガンズ・アンド・ローゼズは、ドラム・マシンを用い、さまざまなスタイルの候補曲のデモを作っていた。惜しくもセッションから漏れてしまった興味深くキャッチ<ーなナンバーのひとつが、しゃがれ声のブギウギ・ロックンロール『トゥー・マッチ・トゥー・スーン』だ。タイトルは、明らかに、ダフ・マッケイガンに多大なる影響を与えた人物のひとり、ジョニー・サンダースに由来している。サンダースは、同じタイトルの忘れがたいアコースティック・ナンバーをソロ・アルバム(『ハート・ミー』)で録音し、ニューヨーク・ドールズのロック色の強いセカンド・アルバム『悪徳のジャングル』(原題:Too Much Too Soon)でプレイしている。この曲の、激しいパンクなギターリフとヒップホップ調のハンド・クラップとウォーキング・ベースは、ガンズ・アンド・ローゼズの魅力的な別の一面を見せてくれる。

『イット・テイスツ・グッド・ドント・イット(It Tastes Good, Don’t It)』

ヒップホップがメインストリームに入り込んできた時代、ラップとロックの融合を目指したガンズ・アンド・ローゼズの初期の試みのひとつが、『イット・テイスツ・グッド・ドント・イット』だった。ローズはこのジャンルのファンで、「アクセル・ローズがN.W.A.のキャップを被っているのを見て、自分がメジャーになったと感じた」とドクター・ドレーは話している。『ユーズ・ユア・イリュージョン』収録の異色作『マイ・ワールド』以前、ガンズ・アンド・ローゼズが80年代後半に試みたラップへの挑戦は、幼稚だ("俺をなめやがるとお前のお袋をヤッちまうぞ"と、何の脈絡もなくローズは吐き捨てる)が、フックが効いている。この高速で騒々しいトラックは数えるほどしかプレイされていないが、『ロケット・クイーン』の間奏部分で使用されたことがある。ガンズ・アンド・ローゼズは、(両者間で諍いが絶えなかった)アイアン・メイデンのツアーのオープニング・アクトを務めた際にこの曲を初披露したが、パフォーマンスの途中でローズが喉を傷めてしまい、ツアーの残りの日程をキャンセルせざるを得なくなった。

『シャドウ・オブ・ユア・ラヴ(Shadow of Your Love)』

ガンズ・アンド・ローゼズは、文字通り、『シャドウ・オブ・ユア・ラヴ』から始まった。ハードロック・バンド、ハリウッド・ローズ時代のアクセル・ローズとイジー・ストラドリンの名残を感じさせるパワーみなぎる曲だ。オリジナルのハリウッド・ローズのデモでは、ガンズ・アンド・ローゼズの“ガンズ”として知られるトレイシー・ガンズがギター・ソロを弾いている。「リハーサルで最初に演奏した曲が『シャドウ・オブ・ユア・ラヴ』だ。アクセルは遅刻した」と、スティーヴン・アドラーは以前語っている。「俺たちが演奏してると、ちょうど間奏でアクセルが現れて、マイクを掴んで、叫びながら壁を駆け上がったり駆け下りたり…… 俺たちの持ち味がわかった瞬間だった」。1986年夏、後に『アペタイト・フォー・ディストラクション』のプロデューサーとなるマイク・クリンクとのオーディションで、バンドはこの曲を演奏し、彼は「ガンズ・アンド・ローゼズの本質を捉えた」に違いないと確信した、とスラッシュは語っている。理由は定かではないが、この素晴らしいトラックはB面としてリリースされるにとどまった。――フェイクの歓声のおまけ付きで。

『ジャスト・アナザー・サンデー(Just Another Sunday)』

ガンズ・アンド・ローゼズは、『ユーズ・ユア・イリュージョン』IとIIの2枚で30曲をリリースしているが、優に18カ月以上この企画のセッションに費やしたため、多くの曲がお蔵入りとなった。ブートレグ界に出回っている興味深い曲の中に『ジャスト・アナザー・サンデー』がある。この曲で、アクセルは失った恋を取り戻そうと懇願するのだ。「お前の目に触れると俺の世界は憂鬱に染まる」とアクセルは歌う。「手遅れになる前に言わなくちゃ でも、行かないでくれと縋ってお前をためらわせたくはない」――このトラックは、『ユーズ・ユア・イリュージョン』の中でも一二を争うポップ・チューンとなり得たはずだが、粗削りで未完成な故にボツになったのかもしれない。しかし、もっと時間をかけていれば、ガンズ・アンド・ローゼズの代表作になっていただろう。

『ブリング・イット・バック・ホーム(Bring It Back Home)』

『ユーズ・ユア・イリュージョン』のセッションで生まれたこのブルージーなデモから、ガンズ・アンド・ローゼズのエアロスミスとナザレスに対する愛情を容易に汲み取ることができる。エアロスミスのアルバム『ロックス』を彷彿させるチャンキーなリフとローズの低い音域を活かした『ブリング・イット・バック・ホーム』は、出だしから抑え気味だ。ねちっこく、ザラリとしたストリート感満載のこの曲は、洗練されすぎた『ユーズ・ユア・イリュージョン』IとIIが、ガンズがこれまで続けてきたサウンドになっていたかも知らないと思わせる。事実、『アペタイト・フォー・ディストラクション』からのより自然な進歩を示している。「盛りのついた犬」「彼女は自由を歓迎する」などと吐き捨てるローズのヴォーカルに、『ナイトレイン』やナザレスの『人食い犬』(『"ザ・スパゲッティ・インシデント?"』でカヴァー)のリズムとの共通点が、『ユーズ・ユア・イリュージョン』のどの曲よりもあるにもかかわらず。曲をまとめるのは、イントロの「ウー」と伸びる唸り、そして曲を締めくくる狂気じみた笑いという、ふたつの特徴的なローズのアドリブだ。『ブリング・イット・バック・ホーム』についてただひとつ解せないのは、なぜこの売れ線の曲が日の目を見なかったのかということだ。

『クラッシュ・ダイエット(Crash Diet)』

ウエスト・アーキーンはガンズ・アンド・ローゼズと非常に親しく、『イッツ・ソー・イージー』『ザ・ガーデン』『イエスタデイズ』などの共作者としてクレジットされている。そして、『ユーズ・ユア・イリュージョン』のセッションでは、『クラッシュ・ダイエット』を共作している。疾走感のあるクールなリフレインが印象的なこの曲は、レーナード・スキナードの『ザット・スメル』を彷彿させる、ロックンロールなライフスタイルの危険に警鐘を鳴らす、ダークでメタリックなナンバーだ。「飲んでホワイト・ライトニングでぶっ飛ばそうぜ」とローズは歌っている。「お前のラスト・ライドだ 寿命の前に死にたくなきゃ気を付けた方がいいぜ 飲んでホワイト・ライトニングでぶっ飛ばそうぜ、ベイビー」――残念なことに、アーキーンは1997年、ドラッグの過剰摂取が原因で死亡した。(訳注:ホワイト・ライトニングは、バイクのモデル名。また、密造酒やLSDの隠語でもある)

『ノーベンバー・レイン( November Rain)』(アコースティック・デモ)

アクセル・ローズが『ノーベンバー・レイン』をいじり出したのは1983年、ガンズ・アンド・ローゼズ結成より2年も前のことだった。長い間、彼がピアノで弾くだけのラフな曲だったが、1986年、正式に『アペタイト・フォー・ディストラクション』の製作に入る直前、バンドはこの曲のロング・バージョンをレコーディングした。最終的に、この録音は自分の基準に一致しないとローズは判断した。彼にとって特別な曲だったので、パーフェクトにしたかったのだ。『ユーズ・ユア・イリュージョン』の初期のセッションでは、ミニマルなバージョンがいくつか試された。アクセルとアコースティック・ギターだけをフィーチャーしたこのデモも、そのひとつだ。完成版が持つ威厳には欠けるが(言わずもがな、スラッシュのギター・ソロも)、それでもなお、胸をえぐるような哀切に満ちている。

『キャッチャー・イン・ザ・ライ(Catcher in the Rye )』(ブライアン・メイ・デモ)

文句なしに『チャイニーズ・デモクラシー』のハイライトのひとつである『キャッチャー・イン・ザ・ライ』には、二転三転するプロダクション、バーニー・トーピン的な歌詞、とてつもない長さ(演奏時間:約6分)という、アクセルのあらゆる特徴が含まれている。しかし、残念なことに、ブライアン・メイのほとばしるようなギター・ソロを得たデモ・バージョンに、彼は後から難癖をつけたのだ。クイーンの名ギタリストは、ローズの気まぐれなパワーと心地よい好対照を成していた。ふたりがコラボしたのはこれが初めてではない。1992年のフレディ・マーキュリー追悼コンサートで共演している。しかし、ガンズのリーダーは、最終的にメイの貢献を削除することを決めた。2008年、インターネットの掲示板のチャットで、彼は完成版の(ロン・"バンブルフット"・サールによる)ソロは、メイの影響を受けていると発言している。「あのソロは完全に、ボツになったテイクでブライアンが弾いた音をベースに編集して作り上げた」とローズは書いている。「それについてブライアンは、少なくとも表向きは、わりと好意的なようだ。残念なことに、当時、俺たちの編集作業に彼は満足していなかった。俺の左に立ち、スタジオの大きなスピーカーを見つめながら、"でも、これは俺のプレイじゃない"と、いささか愕然とした様子のブライアンを覚えてるよ」