Appetite For Destructionアペタイト・フォー・ディストラクション

■ ガンズ・アンド・ローゼズのデビュー・アルバム『Appetite For Destruction』。全12曲について、メンバーの発言の一部を紹介します。

Welcome To The Jungle (ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル)

アクセル

「大きなフェンスに囲まれた、クィーンズ地区にある学校の校庭で一晩寝たんだ。すると、黒人の男が現れてこう言った『You know where you are? You are in the jungle! You gonna die! (オマエ自分がどこにいるのか、わかってるのか? ジャングルだよ! オマエ死ぬぜ!』ってね。だから、そのまま歌に入れたのさ」

「まだバンドとも呼べないような駆け出しの連中が、飢えながら、なんとかレコード会社との契約のチャンスを窺っているガキ達が、いろいろなトラブルにもまれている、そんな状況がゴマンとあるだろう? それにドラッグや暴力…サツに引っ張られたり…それが罪だとか言うんじゃなくて、現実に起こっていることで、オレ達みたいなガキは、そんな中で生き残っていかなきゃならないわけさ。
あの曲を書いた時点では、オレ達も世界を目指して必死になって生きていた。探しているものが、善か悪かのどちらかだってこともわかっていた。つまり、あの曲で言いたかったのは、あれが現実で、オレ達はその中で生きてるってことさ。別にLAに限らず、都会なら、どこでも転がっている風景さ。オレは、そんな状況をいくつも見てきたぜ。もともとのタイトルは、ジャングルじゃなくて『Welcome to the City』(ウェルカム・トゥ・ザ・シティー)だったんだが、シティーじゃ楽園みたいだから変えたんだ。要するにさ、ジャングルってのは『現実』のことなんだ」


It's So Easy (イッツ・ソー・イージー)

アクセル

「はじめは高い声でやってみたんだ。でもなんだかイギー・ポップみたいでさ(笑) それでトーンを落して歌ってみたんだ」

スラッシュ

「女の子を追っかけ回す興奮を失いかける時期ってのが、往々にしてあるもんだ。そうなると、図書館の司書とか、全然不釣合いな女の後をつけたりしだす。そういうのをモノにして、ついにオレは並の相手じゃない女の子を捕まえたぞ、なんて言うためにさ。その他のことがみんな…『あまりにもお手軽』(It's So Easy)になってきちゃったからだよ」

アクセル

「ある日突然、オレ達の周囲にいる女が全員思い通りになるようになったんだ。望むこと何でもしてくれる、みたいな。一瞬盛り上がったんだけど、すぐに飽きちゃって…。図書館員とか婦人警官とか、意外な女をベッドに連れ込むのがそのあと流行ったっけ。その頃の曲が『It's So Easy』さ」


Nightrain (ナイトレイン)

ダフ

「一文無しだったけど、やっとこ小銭で1ドルかき集めて酒屋へ行ったんだ。たまたま『Nightrain』(ナイトレイン)っていうすげぇワインが売ってたんだが、これが1ドルで、ブッ飛んじまう代物だった。5ドルあれば天国だったね。これで生きてたようなもんだ」

# ナイトレインは1.14リットル入りで1ドル、アルコール度19%という代物らしい。


Out Ta Get Me (アウト・タ・ゲット・ミー)

アクセル

「自分が見たり感じたりしたものをどんな風に人間界の言葉にしていくかというのは、非常に難しいよ。”Out Ta Get Me”は…牢屋に入れらてるという内容の曲を書いた時に、良いタイトルが全く思いつかなくてね…20個ぐらいタイトルを考えたんだけど、どれも満足しなかった。ところがある日、スラッシュが酔っ払って「ヤツらはもうすぐ Out Ta Get Me だぞ!」って言った時に”アッ、これ以上のタイトルはないな”と思ったんだ。酔っ払った時のスラッシュからは、いろいろなタイトルを貰ったよ(笑)」


Mr.Brownstone (ミスター・ブラウンストーン)

スラッシュ

「多くの人々がこの歌について誤解してるよ。彼らはドラッグについての歌だと思ってる。これはオレ達の(ドラッグの)常用癖についての歌じゃなくて、他のやつらの常用癖についての歌さ」


Paradise City (パラダイス・シティ)

ダフ

ダフはLAにやって来た時に、このコード・チェンジを思い付いたという。
「…誰一人知り合いがいなくて、ちょっと滅入ってる時だった。ほら…何かに手を伸ばす感じ、わかるだろ?」

アクセル

「ヴァースは、ジャングルの中にいることについてで、コーラスは、中西部とかに戻ってる感じになってる。小さい子供だった頃、青空を見上げて『ああ、これは一体なんだろう。空はなんて広いんだろう』って感じたときのことを思い出させるよ。すべてがずっと無垢だった。この歌にはすごく素朴なフィーリングを持ったパートがあって、オレのヴォーカルを重ねてみたら(5トラック使った)、なんだかアイルランドとかスコットランドの古い遺跡を引き継いでるみたいな感じが出てきたんだ」


My Michelle (マイ・ミシェル)

アクセル

「ミシェルという名の娘を知っていて、彼女はバンドの連中とすごくいい友達になった。オレはしばらく彼女と付き合ってた。で、彼女のことをとても素敵な甘い歌にしたんだ。だけど、書いたのを見て、思った。「これじゃ現実味がない」って。それで、正直な歌に書き直した。彼女の人生を描いたんだ。この娘はひどくクレイジーな人生を送っていて、ドラッグにしろ何にしろやりたい放題で、明日の命も分からないような状態だった。ミシェルの姿を見るたびに、オレはホッとして喜んだ。3週間ばかり考えて、歌詞を彼女に見せると、うわべだけの綺麗な歌じゃないって嬉しそうだった。とっても気に入ってくれた。あれは彼女についての真実の歌だったんだ」


Think About You (シンク・アバウト・ユー)

イジー

「これは速いラヴ・ソングで、ドラッグ、セックス、ハリウッド、そして金についての曲さ」


Sweet Child O' Mine (スウィート・チャイルド・オブ・マイン)

ダフ

「”Sweet Child”って実は5分で完成した曲なんだよ。よくある3コードだけの、手抜きの曲ってあるじゃないか。スラッシュが出だしの所でプレイしているギターのリックに耳を傾けたことがあるかい? ほとんどジョークみたいなものだった。「なんなんだよ、この曲は。どーしようもねぇなぁ。レコードの穴埋めにしかならないな」ってオレ達笑ってたんだ。まぁヴォーカルだけは別だよ。とてもスイートで暖かみのある歌詞だし……でも、スラッシュはいい加減にギターを鳴らしてる時にあのリックを考えついたんだ」

アクセル

「”Sweet Child O`Mine”を書いたのは、ある女の子(エリン)の瞳の中の輝きを見た時に、なんて表現していいか分からないような感情を持ったんだけど、それを言葉にしたくてズーッと苦労してね……で、やっとあの曲を書いたんだ」

「あの曲は一度、行き詰まってしまって、しばらくほったらかしにしておいたんだ。その後でスラッシュとイジーがいろいろとアイディアを出してあの曲をもう一度はじめた時、オレが入っていったんだ。イジーがなにげなく弾いたリフのおかげで、突然この詩が頭に浮かんだ。それからは、あっというまだったよ。
ロック・バンドをやってる連中の多くは勇気がないから、苦しみが含まれていないとセンチメンタルで感情に訴えてくるようなものは書きたがらないんだ。これはオレが初めて書いたポジティブなラヴ・ソングといえるだろう。だけど、それは今までこういうポジティブな内容を書くべき材料がなかったまでのことだろうね」


You're Crazy (ユー・アー・クレイジー)

アクセル

「この曲は元々アコースティックで書かれたものなんだ。オレ達の知ってる、あるクレイジーな子について歌った曲さ」


Anything Goes (エニシング・ゴーズ)

アクセル

「基本的に、オレは"anything goes in sex"(セックスについては何でもありだぜ)ってタイプの曲にしたかった」


Rocket Queen (ロケット・クイーン)

アクセル

「バンドを作ってRocket Queen(ロケット・クイーン)って名前にしようと思ってる女の子がいて、彼女のためにこの歌を書いた。彼女、しばらくオレのこと元気付けててくれたんだ。歌の最後のパートは、この娘への、またはここから何かを感じることの出来る他の誰かへの、オレのメッセージ。歌の最後に希望と友情の短い手紙が付いてるって感じかな。
この歌には、他にもいろんな人と一緒にやろうとしたことがある。性行為のレコード化。自然に出てきたことではあるんだけど、計画的だったところもあるね。レコードに入れてみたかったことなんだ。あれはセクシャルな歌だったし、その晩のスタジオはすごいもんだった。知ってる女の子が踊ってて、みんな本当にエキサイトしてた。その夜はもう、本当に爆発しそうで、みんな大変なことになりそうだった。で、オレは考えたんだ…待てよ、こいつをどうにかして生産的にできないもんかな、って」